施術中、会話がふっと途切れる。何か話したほうがいいかな、退屈されていないかな。手を動かしながら、次の話題を探すこともあるかもしれません。
お客様に心地よく過ごしてほしいからこそ、その静けさが気になるんですよね。でも、話さない時間が何を意味するかは、外からは分かりません。休みたいのか、考えごとがあるのか、それともただ言葉が浮かばないだけなのか。
私は、その答えを施術する方が全部当てなくてもいいようにできたら、と思っています。
話しても、 話さなくても いいと 伝える。
たとえば施術に入るとき、「今日は静かに休んでいただいても、お話ししながらでも。楽なほうでお過ごしくださいね」。これは声かけの一例です。ご自身の話し方に合う言葉にしていただけたら。
「どちらにしますか」と、その場で返事を求めなくてもよさそうです。黙っていると気まずいかな、と気を遣う方にも、会話を楽しみたい方にも、どちらでもいいと先に伝えておく。選び直せる余地があるほうが、過ごしやすい気がします。
もちろん、施術に必要な確認までなくすわけではありません。強さや体勢など、確かめたいことは短く尋ねる。その確認と、会話を続けるための話題探しは、分けて考えられそうですね。
お客様からお話が始まれば聞く。返事が短くても、すぐに別の質問を重ねない。そんな待ち方も、こちらからできる気遣いの一つだと思うんです。
前回と 同じ 気分とは 限らないから。
前はたくさんお話しした方でも、今日は静かにしたいかもしれません。「この方はおしゃべりが好き」と覚えていることが、今日の過ごし方を決めてしまわないようにしたいですね。
記録を残すなら、性格の決めつけではなく、ご本人が希望されたことを必要な範囲で。「今回は静かに休みたいとのご希望」のように、その日のことだと分かる書き方なら、次にお迎えする自分も思い込みを減らせそうです。会話の私的な内容まで、何でも書き残す必要はありません。
話が弾んだ日だけが、よい接客の日ではないですよね。言葉が少ないぶん、タオルの位置や室温に気を配っていた日もあるはずです。
次に静かな時間が訪れたら、すぐに新しい話題を差し出す前に、ほんの少し待ってみる。お客様が会話を頑張らなくてもよくて、あなたも盛り上げ続けなくていい。その余白を、一緒に大切にできたらと思います。

